「生理休暇」を考える

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こんにちは。キャリアコンサルタント兼社労士兼セラピストの松澤晋平です。
SNSを見ていたら、企業発信の文言が物議になっていたことで思い立ったことです。
就業規則に何気なく記載されていて、これと言って気にしないものでしたが、検討要素だと思ったことです。

生理用品メーカーがSNS上で「生理のある人」という表現をしたことに対して、SNS上で意見が交わされているのを見かけました。その中で気になったのが、「生理は術後経過中の男性にも起こる問題」という意見があったことでした。

就業規則どうしてたっけ??

就業規則の中で「生理休暇」の項目を作成する際、そういえば従業員の性別ってどうしてたっけと、過去納品した規則と厚労省のモデル就業規則を見てみました。

弊所表現

『生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その日について生理休暇を与える。』

厚労省モデル就業規則表現

『生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。』

いずれも女性を対象にしたものでした。

「生理」≠「月経」という考え方

痔の手術なんかをした術後の人は、性別問わず出血を伴うため、生理用ナプキンを使用することがあるそうです。術後の傷口から出血する、もしくは痛みを伴うなど就業が困難になる状態というのも生理現象なので「生理」ともいえる問題っぽいです。規則上「生理日の…」と書いてありますが対象を女性に限定しているので月経のことなんだろうという考えに至りますが、今後この部分は丁寧に考えていく必要のある部分と思いました。

規則の表現どうする?

そもそもの生理休暇ができた経緯を考えると「月経休暇」と考えるのが妥当ですが、前述のようなことが考えられる以上、旧来の生理休暇の項目では生理に関して月経を指すものと定義づけしておく必要があると考えました。

でないと、生理現象として月経以外での就業困難な状況に対して、男女差が出てきてしまいかねない問題と思ったわけです。特に病気休暇または、それに類する制度を設けていない企業の場合、このような状況になった際の休業は年次有給休暇、特別休暇(会社が必要と認めた場合を認めるならです)、欠勤のいずれかで処理すると思います。ボーナス査定やら年次有給休暇の出勤率算定に響いてくるやらで不均衡を生じさせるおそれがありそうです。

自分自身の事例も思い返せばあった

考えてみたら自分自身、今年に入ってから月に1~2回程度のペースで、気圧の変化によるヘビーな不調が顕著に出るようになっていて、調べてみたら、いわゆる「気象病」というものらしく、半日~1日仕事にならないくらい、コンディションを崩すことが起こるようになっています。気候変動による生理現象と考えることもできるんじゃないかとおもうわけです。自営業なので働くも休むも自分の匙加減次第ですが、会社員はそうもいきません。1日くらいで回復してしまうので、なおのこと、そこの欠勤をどうする?と考えてしまうポイントではないでしょうか。

月経以外の生理現象はどう扱えばよいか

旧来の生理休暇については月経が対象であるということを明記した上で、それ以外の就業が困難になりそうな生理現象による休暇取得に関しては別途に、性別に依拠しない休暇制度(例えば「生理現象休暇」)として規定するのがよさそうです。

その際の留意点としては休暇中の賃金の有無や、半日もしくは時間単位取得の有無の規定、会社指定医診断をあらかじめ受けた者が取得の対象に該当するようなルールを設けておくのがよさそうです。術後の職場復帰者の復帰支援にもつながるので制度として設けておくとよいと考えました。

表現変更と追加則例

こんな風にする感じでしょうか。月経以外の生理現象に関しては任意なので無しでもOKです。すでに病気休暇制度があるならそちらでカバー済みというところです。

従来の生理休暇

第XX条(生理休暇)

月経に起因する生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。』

「生理日」の前に「月経に起因する」を追記しました。「女性労働者」の部分はそのままです。

月経以外の生理現象に起因する休暇

第XX条(生理休暇)

~中略~

『2.私傷病に起因して散発的に発生する生理現象発生日の就業が著しく困難な労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。但し当該私傷病について会社指定の医師の診断書を提出した者に限る。』

生理休暇の第2項として、会社指定医の診断書提出の上で私傷病起因の生理現象発生日も生理休暇にするならこんな感じでしょうか。

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