こんにちは、台東区寿のセラピスト兼キャリアコンサルタント兼社労士の松澤晋平です。
前回はセラピストが定着しないサロンの原因は「契約の不平等」な点にあるということでした。
業務委託契約ってそもそものところは契約した業務以外の仕事を受託者にさせてはいけないのですが、社会保険料やら詳細な給与計算やらを逃れようとするサロンオーナーはそんなことお構いなしなわけです。どこのサロンオーナーかは知りませんが「リラクゼーション業界の業務委託契約の形態は特別(なのもので、他の業務委託と異なり契約外業務を受託者に行わせても良いもの)だ」と契約セラピストに言ったと云う話を聞いたことがありますが、先にここは声を大きくして言います。
リラクゼーションやボディワーク系の業務委託契約だけ他の業務委託契約と異なり、契約外業務を無償で行わせる行為が許されるような特別な規定は日本の国内法において存在しません。
したがって、そんなことを言うサロンオーナーは日本以外のそんな法律がある国の出身で、自国の法律と勘違いをしている、もしくは大嘘吐きです。
・サロンが回らないから予定外のスケジュールでサロンに出ろ、ただし報酬は施術歩合でしか支払わない
・営業時間中はいつ来客があるかわからないからサロンに居ること、食事外出も許可しない
・開店閉店業務、施術以外の接客(レセプション業務など)、サロンの掃除、事務関連作業、電話応対など契約外業務をセラピストに行わせる
・出勤がシフト制
・セラピストの希望で自由な休憩が取れない
などなど、セラピストが定着しないサロンではオーナーによる、これらのような契約違反が横行しているわけです。これを総称して偽装請負と呼びます。
・業務の依頼/受託方法について
セラピストが施術対応するorしないを決定することができる状況にあるか?例えば、施術が連続して休憩を取りたいのに、サロンオーナーによって勝手に予約を受けちゃったりされてないかということです。
・業務遂行上の指揮監督について
施術についてセラピストに内容を一任しているかどうかです。手技についてサロンオーナーから契約以外に規制を受けていませんか?ちなみに某チェーン系のリラクゼーションサロンでは業務委託にもかかわらず手技については、その運営会社の手技にすべて限定されるそうですが、契約書で特約とか付いているのでしょうか?
他にもサロンのチラシ配りなんかも無報酬で行ったりしていませんか?
・拘束性
勤務場所や勤務時間をセラピストが決定できるようになっていますか?複数店あるサロンでオーナー指示に基づいた勤務をしている、出勤日や休日をオーナー作成のシフトに基づいて行っていて自由な休日の取得ができない、出退勤をタイムカードなどで管理され、遅刻早退に罰則があるなんてことはありませんか?
・報酬
業務に応じた対価として報酬を受けていますか?施術以外も、開閉店業務・掃除・洗濯・その他事務作業を慣例としてセラピストがせざるを得ない状態にして、そのコストを払っていないと云うことは横行しています。また勤怠が報酬額に影響を与える(1遅刻につき施術の有無にかかわらず報酬を減額する等)というのもシフト管理自体ができないはずの業務委託契約ではおかしな話です。
主だったよくある話だとこの辺でしょうか?セラピスト側も変とは思いながら、これまでのサロンの慣習だったり周囲の空気を読んで、そのままなし崩しに契約外の事項に同意してしまっているなんて云うことが多々あると思います。これらは偽装請負と呼ばれ、実際はもっと支払われるべき労働者としての賃金があるにもかかわらず、業務委託契約の皮を被って施術報酬以外の支払を行わず、雇用契約ではないためにサロンオーナーは施術以外でセラピストを使用した際の賃金・社会保険料・オーナーが支払手続をすべき税金などの支払いをせずに私服を肥やしている実態が、現在のリラクゼーションやボディワーク関連のサロンでは散見してます。
支払いを報酬にして出て行く金額を抑えつつ、あたかも、社会保険料がかかっていないだけの雇用契約のように振舞ってセラピストを安く使おうとするわけですから、まあまともな契約とはいえないですよね。
と、まあ業務委託契約を悪用しているサロンオーナーが多いと云うのが実態として存在しているわけですが、業務委託契約自体は悪いものではありません。ようやく次回あたりから、業務委託契約のまま人が定着するであろう条件とは?であったり、実はやっぱ雇用契約のほうが人が定着するんじゃないか?といったような話をしていこうと思います。
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松澤社会保険労務士/キャリアコンサルタント事務所
松澤晋平
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